叶ったはずの恋。





『キミねぇ~隠れて人の告白シーンを見るなんて随分、悪いことしてんじゃない?』


兄貴はあ?と、言ってあたしの顔を覗き込む。

ま、まさか…あたしがいるの…バレてた…?!



「ご、ごめん!兄貴!

その…悪気はなくてですね…」


と、言い訳をしようとするあたしの言葉を手で遮る兄貴。



『言い訳なんて聞いてやんねぇ…

妹に告白シーン見られる兄貴の気持ち、お前に分かるか?!』


兄貴は今までにないくらいご立腹で。
(あんまり怖くなかったけど…)


機嫌を取るのに苦労した。



『だいたい、大ちゃんと何付き合っちゃってんの?!』


急な話題転換。

兄貴…そこ、ツッコんじゃう??



『お前、最低最悪だよな。


本当に好きなのは桐ちゃんなのに。

そのこと知ってる大ちゃんと付き合うなんて。


大ちゃんが可哀想だ。

俺だったら耐えられない。


夏希がそんなに尻軽な女だったなんて知らなかった』



兄貴のこの言葉にあたしの中の何かが爆発した。







「兄貴に…何が分かるのさ?!」











< 82 / 132 >

この作品をシェア

pagetop