叶ったはずの恋。
『キミねぇ~隠れて人の告白シーンを見るなんて随分、悪いことしてんじゃない?』
兄貴はあ?と、言ってあたしの顔を覗き込む。
ま、まさか…あたしがいるの…バレてた…?!
「ご、ごめん!兄貴!
その…悪気はなくてですね…」
と、言い訳をしようとするあたしの言葉を手で遮る兄貴。
『言い訳なんて聞いてやんねぇ…
妹に告白シーン見られる兄貴の気持ち、お前に分かるか?!』
兄貴は今までにないくらいご立腹で。
(あんまり怖くなかったけど…)
機嫌を取るのに苦労した。
『だいたい、大ちゃんと何付き合っちゃってんの?!』
急な話題転換。
兄貴…そこ、ツッコんじゃう??
『お前、最低最悪だよな。
本当に好きなのは桐ちゃんなのに。
そのこと知ってる大ちゃんと付き合うなんて。
大ちゃんが可哀想だ。
俺だったら耐えられない。
夏希がそんなに尻軽な女だったなんて知らなかった』
兄貴のこの言葉にあたしの中の何かが爆発した。
「兄貴に…何が分かるのさ?!」