叶ったはずの恋。






「兄貴にはあたしのキモチ、分かんないよ!

本当に好きな人に裏切られたキモチなんて分からない!


それなのに…それなのに、
最低とか…最悪とか…言われたくない!!」


あたしは立ち上がると大声で叫んだ。

近所に聞こえてしまうくらい大きな声で。


とにかく、ムカついた。


兄貴にあたしのキモチが分かってたまるか…

なんて、子どものようにムキになって。


兄貴はあたしの声に驚くことなく、
表情を崩さずに



『当たり前だろ?俺にお前のキモチなんて分かるワケない』


と、言い放った。


その言葉にまたムカついて



「だったらなんも言うんじゃねぇよ!!


あたしのキモチ、分からないって言うなら何にも口出しないでよ!」


と、自分の押さえきれない想いに任せて叫んだ。


もう何がなんだか分からなくなって

このどうしようもない想いをどこに向ければいいのか分からなくて



そんなことを思っていると涙が溢れてきた。



『お前…何泣いてんの?』


兄貴はやっぱりさっきと同じ無表情で。


あたしが泣くことを予想していたみたいだった。





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