叶ったはずの恋。

『お前の涙…いつ以来だっけ?

もしかして…あれか?
桐ちゃんと別れたとき以来??』


兄貴の言葉を聞いてなぜかよけいに溢れ出してしまった涙。


なんで…

なんでなのよ…


なんで涙は溢れるの…?



悔しくて…

悔しくて…



『お前さ、まだ想い出にできてないんだろ?

だから桐ちゃんの名前がでるだけで涙が溢れちゃう』


何もかも、兄貴に見透かされているような気がして。

それが悔しくて。


でも、それ以上に兄貴の言っていることが図星で。


まだ…あたしは桐ちゃんを追いかけている。


そんなこと、言われなくたって分かってる。


分かってるはずなのに、人に言われると
大ちゃんへの罪悪が大きくなり、涙に変わる。


桐ちゃんを想い出すとどうしようもなく辛くて涙が溢れてしまう。



全部、兄貴は分かっていたんだ。


あたしの心の中にある全てのことを。