叶ったはずの恋。






『もしもし?』



「あ…大ちゃん?」


3コール目で出た大ちゃんの声は少し息が上がっていて。



「もしかして今、忙しい??」




『あーううん、大丈夫。

今、部活の最中だったんだ』



「練習…いいの??」


なんか無理。

電話ってなんでこんなに緊張するワケ?


意味分かんない…

と、思いながら会話を続ける。



『大丈夫、大丈夫。

もうあとは最後にランニングするだけだから。


それより、なんか話あったんじゃなかった??』


大ちゃんは緊張していないようで。

いつもとなんら変わらなかった。


大人の余裕…ってヤツかな?



「あぁ…なんか陽菜と兄貴、付き合うことになったんだけどね?」



『え?そうなの??おめでとう!』



「あ、うん。

それで陽菜が春休み中にトリプルデートしよ、って言うんだ。

どう??」


きっと、大ちゃんは忙しいから無理に決まってる。


うん、絶対そうだ。


なのに大ちゃんの口からでてきた言葉は






『いいね!それ!!』








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