叶ったはずの恋。





「ごめん、ちょっと散歩行ってくる。」


玄関に荷物を置いてあたしは家を出た。


ゆっくりと歩きながら学校に向かう。




桐ちゃん…覚えてる??


あの日の約束。


今でもまだ、覚えていてくれてる…??



不安のせいか、楽しみのせいか心臓が大きな音をたてる。


気づくともう、目の前には懐かしい校舎。



3年間、あたしが過ごした校舎が見えた。


校庭からは様々な声が聞こえる。





『……………海道!?』



校舎に足を踏み入れようとした瞬間、後ろから声をかけられた。




この声は……






「中ちゃん??」



ゆっくりと振り向くと案の定。



『やっぱお前だったか!!

久しぶりだな、3年ぶりか??』


ジャージ姿で頭にタオルを巻いている中ちゃん。


中ちゃん…中村先生

あたしたちの国語を2年間担当してくれた。

すごいおもしろくて、桐ちゃんといいコンビだった。





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