叶ったはずの恋。
「やっぱり大ちゃん、おかしいよ。
いつもと違う。」
俯き拳を握る。
今でも思う。
このときからあたしは何かを感じていたんじゃないか、って。
だから大ちゃんの顔を直視できなかったんじゃないか、って。
『俺…イヤだ。イヤなんだ…』
大ちゃんがあたしの頭の後ろに手を回し、胸に引き寄せる。
『いつか夏希が俺のところからいなくなるんじゃないか…って。
いつもいつも不安で…』
「いなくならないよ、あたし」
思わず、大ちゃんの言葉を遮った。
どうしたの…大ちゃん
『なんで…なんでウソつくんだよ、夏希』
か細い大ちゃんの声にさっきからの胸騒ぎが収まらない。
「ウソ?どういうこと?大ちゃん」
さっきから何がなんだか分からなくて。
大ちゃんのこの変わりように頭がついていかない。
『もし…今、桐島先生がここに現れても、夏希は俺の隣にいてくれるか??』