オレンジの瞳
隣の席の彼
私の隣の席の彼は、いつもぼーっとしている。
授業には毎回出席し、教科書も机の上に出している。
なのに、ノートをとるという行動を全くしていない。
ただぼーっと、窓の外に広がる外の景色を眺めている。
そして不思議なことに、彼は窓際から離れたことがない。
天舞 白 (てんま はく)
それが彼の名前である。
特に目立ったところはなく、運動もできないことはなくそれなりにこなしていると聞く。成績も悪くはないらしい。
一つだけ、きっとこれはだれにも気がつかれていないのだろうけれど、
彼の瞳の色は、茶色っぽいオレンジだ。
その瞳はいつも、目にかかるほど長い前髪で隠されている。
見たことがあるのは、きっと、私だけ。