オレンジの瞳
頼まれごとをしても断らない相手がいる。その人に抱く印象は人によりけりであると思う。
優しい人
八方美人
都合のいい人
しかしその印象は必ずしも良いものだとは限らないこと、私自身よく理解している。
それでも文句を言わずに、いいよ。と笑顔を作っているのは、何故だろうか。
「頼む!お前しか頼めないんだ!」
目の前で、手を合わせ頭を下げている私の担任。ちなみに男。名前は、鈴木先生。年は知らない。かっこよくもなければ、ブサイクでもない、なんとも表現のしにくい、30手前のおじさんだ。
「えっと、この機材を先生の準備室まで運べばいいんですよね?」
「そうだ!頼む!!」
横目で授業で使った機材を横目に見て、ああこれは一人では無理だなっと先生に同情してしまう。
「……わかり、ました」
そう呟けば、先生の顔色はパァッと明るくなりすぐに運ぶ準備をしだした。