strawberry tea×わがまま姫♀



**蓮side**







……アレ?
何で俺……

桃井に引っ張られてんの!?







「桃井っ」


俺が呼ぶも、桃井は聞こえていないらしい。







俺達はもうお化け屋敷の中間に入っているはず。


暗闇で、しかもまだお化け役が出てこない。






……つまんねぇ…








「桃井っ」


さっきより大きな声で呼びかけてみた。






……すると。








桃井がやっと振り返った。









『……え!?』

かなり驚いた様子。







そりゃあ、今沢だと思って今まで引っ張って来たんだから。

そしたら俺だったっていう。








『嘘…!?
え、どうしよう!?』


かなり慌ててる。






今まで掴んでいた俺の手をパッと離した。







『ごめんっ!!気付かなかった!』

「…平気。
まぁ仕方ないし。」




桃井ははぁっとため息をついた。








『ずっと流かと……
冬嘉と行きたかったよね?』



桃井は申し訳なさそうに言った。




「大丈夫。
とりあえず進んで合流しよう?」





頷いた桃井を見て、俺達は前へ進んだ。












暗闇の中、墓などが立ち並び、柳が揺れている。



ヒューヒューという音が響くが、お化けらしきものは何一つ出てこない。








「怖くねぇ…」






俺は呟いたが、桃井は返答無し。





不思議に思って桃井を見ると……。










小さく震えていた。






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