strawberry tea×わがまま姫♀
怖いのか?
一番最初の奴でも怖がってたし…
「…今沢って、」
俺は話しかけた。
桃井も話してたら怖くないだろうし。
『……え?』
「今沢は桃井の事、大事にしてるよな。」
俺が言うと、桃井は目を丸くした。
「桃井、暗闇だめなんだろ?」
桃井は少しためらって、頷いた。
「一番最初に乗った船のやつ、今沢さ、桃井の手握ってたし。」
『あっ…あれは~…何と言うか……』
暗闇でも分かるくらい顔を赤くした桃井。
「今沢と話してたら、桃井の事ばっか話してた。
すげぇ楽しそうにさ。」
『………』
「今沢なら桃井の事大切にするよ。
この年で婚約とか、俺らには考えられねぇけど…
不安あると思う。」
桃井が静かに頷くのが分かった。
「でも今沢となら、桃井とお似合いだしさ。
大丈夫なんじゃねぇの?
こんな年下に言われたくねぇよな、悪い。」
桃井は頭を振って、
『ううん!!全然!!
…ありがとう。何か…聞けて良かった。』
こう言った。
桃井と今沢なら、大丈夫だと思う。
今沢と話してて、そう思った。
『…守谷君も』
桃井がそっと呟いた。
『冬嘉とお似合いだよ。
羨ましいくらい、幸せそうだし……』
「…ぷ。俺は冬嘉イジメるのが生きがいだから」
『そんな事言ったら冬嘉キレるよ!!』
桃井は大丈夫そうで、笑っていた。
やがて、出口が見えてきた。
…結局小学校の肝試しみたいだったじゃねぇか。
超つまんなかったんだけど。
俺達は眩しく光る外へと出た。