strawberry tea×わがまま姫♀
あたしがはしゃいでいた時。
ガコンッ
夕焼けが広がる園内が動かなくなった。
え?
園内が動かなくなった?
いや、違うか。
…観覧車が動かなくなった?
『「止まった…?」』
あたしと蓮の声がハモった。
あたし達は辺りを見回した。
「動いてないっ…」
『故障か?』
その時、後ろの観覧車に乗る姫央と今沢君が困惑した表情で、あたし達を見ていた。
「…どうしよっ…」
こんな事なったのは初めてで、凄く怖かった。
あたし達も姫央達も、ほぼ頂上にいるので、尚更だ。
恐怖にプラスして、観覧車内に効いた冷房に、寒気が襲った。
バサッ
…………え?
あたしにかかったのは、大きな上着。
それをかけたのは、蓮だった。
「……どうして?」
あたしは問い掛けた。
『お前持って来なかったのかよ……』
蓮ははぁ、とため息をついた。
………へ?
あたしがキョトンとしていると、蓮が続けた。
『お前冷房に弱いだろ。
そのくらい自分で持ってこい。』
そうぶっきらぼうに言った。
…………へ?
ど、どういう事?
『早く着てろ!』
「はっ…はいぃ!!」
あたしは大きな上着に袖を通した。
……温かい。
蓮のバッグに入っていた夏の温度に当たった上着が、心地良く温かい。
「……っ」
もしかして。
もしかしたら……?