悪魔な君に恋をして
『そこ、黒澤くん!寝ないの!』
黒澤くんは先生に合計4回指摘されて
やっとのそのそと起き上がった。
教科書を逆さまに持って、こくこくと
しながら頑張って授業に参加しようとしてる。
その光景が可愛くって、つい私は
クスッと笑ってしまった。
私が笑ったのに気づいたのか
切れ長の瞳がチラリ、こっちを見る。
『何笑ってんだよ。』
『ごめんね。おかしくて、つい。』
見られるだけで、心臓を射抜くような
鋭い視線は日々、私を虜にしていた。
黒澤くんは気に入らないのか
私をじっと睨んでくる。
なんでかわかんないけど
いつか消えちゃうかもしれない
いつか私の前から
いなくなっちゃうかもしれない
なんて黒澤くんといると
変な不安に襲われる。
だからこうして黒澤くんの
視界にいられることだけでも
私は幸せと安心を感じた。
きっとそれらの感情が私を包むのは
黒澤くんが"悪魔"だからかもしれない。