Time Paradox
「お客様の恋人さん、いかがですか⁈」


店員の目はキラキラとしている。

どこを向いたらいいのか分からないリリアーナは、ジャックと目が合うと俯いてしまった。


「…今彼女が着てるの全部買います。」

「えっ⁈」


リリアーナはびっくりして顔を上げると、ジャックは店員にお金を払っていた。

「この商品を着たまま帰られますよね?」

店員が聞くと、ジャックは「はい」とだけ答えた。

「それではタグをお切りいたします。」

店員は素早い手つきでタグをすべて切ると、何やら紙袋をリリアーナに渡す。

「お客様、先ほどまでの服です。」

リリアーナは紙袋を受け取って言った。

「あの、ジャック…さん、さすがにお金は…」

「リリアーナ様、次に参りましょう。」


そう言ってジャックはさっきまでの調子に戻り、リリアーナが先に店を出るよう促した。
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