Time Paradox
アドルフがクローゼットの扉をしっかりと閉めると、リリアーナは大きく息を吐き出した。
「壁に耳ありって言うもんだわ!」
リリアーナはそう言い捨てると、部屋のドアノブに手を掛けた。
「…ハンナ様、どちらへ?」
「決まってるでしょう?会議をしに行くのよ、耳の届かない所でね。」
そう言うが早く、リリアーナは歩き出した。
リリアーナの部屋で話せば、隠し通路にいるルイスに盗み聞きされてしまう心配があるのだ。
この城で通路が繋がっている部屋は多いが、一部の客間などには繋がっていない部屋もあるのだ。
2人は地図を辿りながら探していくと、ちょうどいい空き部屋があるようだ。
その部屋に入ると、早速2人の会議が始まった。
「やっぱりルイス・エドワードで間違いないわね。あの人、あの地図を利用してずっと盗み聞きしてたのかしら?」
「そうだと思いますよ。彼は情報通で、ルイスに聞けば何でも分かると言われているほどですから。」
「…でも、どうして私の部屋の隠し場所を知ってたのかしら?」
「…きっと、何かの拍子に偶然見つけてしまったんですよ。」
「…うーん、そんなことってあるかしら?」
「考えにくいですね…。」
「あ!そう言えば、ルイスの部屋って隠し通路が繋がってたかしら?」
リリアーナはそう言って地図を開くと、アドルフは「そのようですね。」と言って頷いた。
リリアーナは大切そうに地図を仕舞うと、口を開いた。
「きっと、何かの拍子に扉を見つけてしまったのよ。壁に寄り掛かったらそのまま回って隠し通路に出た、とか。」
「十分考えられますね。それにしても皆さん隠し通路がある事、案外気付かないようですね。」
「うーん、でも気付いてる人もいると思うわ。例えば、ずっとここで仕事してるような…マーカス様とか?お父様はマーカス様をすごく信頼してたし慕っていたから、隠し通路のことを話したのかもしれないわ。」
「…しかし、これは王家の人間だけが知る権利のある事ですから、いくら信用できる人間であっても、外部の人間に漏らすというのは許されない行為です。エドモンド様がそのような事をなさると言うのはありえない事かと…。」
リリアーナは難しい顔をしながら頷いた。
「それにしても、あんなに見つけにくい所にある隠し通路をよく見つけたわよね。みんな魔法を使わなきゃ隠し通路の扉を開けられないと思うじゃない?
だからみんな意表を突かれて扉を見つけられないはずなんだけど…。」
「…そういえば突然でしたよね、ルイスが情報通という噂が流れたのは。あの事件の少し前くらいから、噂をする時に必ず "ルイスから聞いたんだけど" という前置きが付き始めましたから。」
「そうだったのね!それならきっとその頃じゃないかしら、ルイスが隠し通路を見つけたのって!」
その言葉にアドルフははっとした。
「僕達が地図を作ったのもちょうどその頃でした!正確に言えば、ルイスの噂が流れる少し前あたりですが。」
「…ってことは、もしかして…」
「…そうです。ルイスは通路で聞いていたんですよ、僕達の隠し通路の地図の在り処を!」
そう言い切るアドルフに、リリアーナは大きく頷いた。
「壁に耳ありって言うもんだわ!」
リリアーナはそう言い捨てると、部屋のドアノブに手を掛けた。
「…ハンナ様、どちらへ?」
「決まってるでしょう?会議をしに行くのよ、耳の届かない所でね。」
そう言うが早く、リリアーナは歩き出した。
リリアーナの部屋で話せば、隠し通路にいるルイスに盗み聞きされてしまう心配があるのだ。
この城で通路が繋がっている部屋は多いが、一部の客間などには繋がっていない部屋もあるのだ。
2人は地図を辿りながら探していくと、ちょうどいい空き部屋があるようだ。
その部屋に入ると、早速2人の会議が始まった。
「やっぱりルイス・エドワードで間違いないわね。あの人、あの地図を利用してずっと盗み聞きしてたのかしら?」
「そうだと思いますよ。彼は情報通で、ルイスに聞けば何でも分かると言われているほどですから。」
「…でも、どうして私の部屋の隠し場所を知ってたのかしら?」
「…きっと、何かの拍子に偶然見つけてしまったんですよ。」
「…うーん、そんなことってあるかしら?」
「考えにくいですね…。」
「あ!そう言えば、ルイスの部屋って隠し通路が繋がってたかしら?」
リリアーナはそう言って地図を開くと、アドルフは「そのようですね。」と言って頷いた。
リリアーナは大切そうに地図を仕舞うと、口を開いた。
「きっと、何かの拍子に扉を見つけてしまったのよ。壁に寄り掛かったらそのまま回って隠し通路に出た、とか。」
「十分考えられますね。それにしても皆さん隠し通路がある事、案外気付かないようですね。」
「うーん、でも気付いてる人もいると思うわ。例えば、ずっとここで仕事してるような…マーカス様とか?お父様はマーカス様をすごく信頼してたし慕っていたから、隠し通路のことを話したのかもしれないわ。」
「…しかし、これは王家の人間だけが知る権利のある事ですから、いくら信用できる人間であっても、外部の人間に漏らすというのは許されない行為です。エドモンド様がそのような事をなさると言うのはありえない事かと…。」
リリアーナは難しい顔をしながら頷いた。
「それにしても、あんなに見つけにくい所にある隠し通路をよく見つけたわよね。みんな魔法を使わなきゃ隠し通路の扉を開けられないと思うじゃない?
だからみんな意表を突かれて扉を見つけられないはずなんだけど…。」
「…そういえば突然でしたよね、ルイスが情報通という噂が流れたのは。あの事件の少し前くらいから、噂をする時に必ず "ルイスから聞いたんだけど" という前置きが付き始めましたから。」
「そうだったのね!それならきっとその頃じゃないかしら、ルイスが隠し通路を見つけたのって!」
その言葉にアドルフははっとした。
「僕達が地図を作ったのもちょうどその頃でした!正確に言えば、ルイスの噂が流れる少し前あたりですが。」
「…ってことは、もしかして…」
「…そうです。ルイスは通路で聞いていたんですよ、僕達の隠し通路の地図の在り処を!」
そう言い切るアドルフに、リリアーナは大きく頷いた。