Time Paradox
この街にやって来たのも昼過ぎだったので、2人が店を出る頃にはすでに陽が傾きかけていた。


「リリアーナ様、そろそろお腹が空きましたよね?」

「…たしかに今日、朝しか食べてないわね。」

「それではこの街で一番人気の食べ物を紹介しましょう!」


そう言われて連れて来られたのは、川辺のサンドイッチの屋台だった。


「リリアーナ様はそこでお待ちください!」

ジャックはそう言い残し、屋台の方へと行ってしまった。

川に映るオレンジ色の光もさっきより暗くなり、星が出始めた。

程なくしてジャックが後ろから現れた。


「リリアーナ様、お待たせしました!
この街一番人気のサンドイッチと、この街一番人気のアーニャ川ディナークルーズです!」

「…アーニャ川ディナークルーズ?」


首を傾げるリリアーナの手を引き、ジャックは少人数で乗るボートに乗り込んだ。


「この街では、アーニャ川でボートに乗って夜のモンフォワーシュを見るというのがとても人気なんです!」

「そうなのね!そしてここで街一番のサンドイッチを食べるってわけね!」


リリアーナの言葉にジャックは頷いた。
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