Time Paradox
絵本の意図するもの
謎解き
次の日の昼頃、リリアーナとアドルフは城の車に揺られていた。
「じきにご到着です。」
運転手はそう言うが早く、ハンドルを切った。
そして曲がった先には豪華なアーノルド家が見える。
運転手はゆっくりと門の前に車を停め、「到着です。」とだけ言った。
リリアーナが自分でドアを開けようとした時、外から黒いスーツの男がドアを開け、リリアーナが降りるのを手伝う。
リリアーナは男にお礼を言い、アドルフ達の後に続いた。
屋敷の玄関では、アーノルド家の家族全員とデイジーが出迎えてくれていた。
そこにはもちろんジャックの姿もある。
「リリアーナ様っ!」
早速イザベラが飛びついてきた。
「イザベラ!久しぶり!」
少し苦しかったが、リリアーナも抱き返す。
デリックがリリアーナからイザベラを引き剥がすと、6人は横一列に並んで挨拶をした。
2人もそれに応じて挨拶をすると、早速中へと通された。
広い応接間には大きなテーブルが1つ用意されていて、そのテーブルを囲むように8個の椅子が置いてある。
みんなそれぞれの椅子に腰掛けると、早速本題に入った。
「例の絵本を持ってきました。」
ジャックは鞄の中から大事そうにそれを取り出すと、テーブルの真ん中に置いた。
藍色の皮表紙に金色の文字で"ブルー・トパーズ"と書かれている。
「…これだわ!間違いない!」
リリアーナは嬉しそうにその絵本を手に取ると、そっと藍色の皮表紙を撫でた。
「…けどその絵本、妖精を呼び出す所の手順までは書いてるんだけど、過去へ行くために妖精が出した条件が何なのかが分からないんだ。」
ジャックが言うと、リリアーナは顔を上げた。
「だったら呼び出してみればいいじゃない?私も人間界にいる頃は、よく真似したわ。」
そう言ってリリアーナは本に目を通す。
「…そうだったわ!これが人間界の森ではできなかったんだけど…そもそもあれは林だったのかもしれないわ。それはともかく、まずやってみなきゃ!」
リリアーナはそう言って立ち上がると、テーブルを囲んでいる人々を見回した。
「アドルフは過去に行きたいって言ってるんだけど、他に誰か行きたい人はいない?」
その言葉にジャックとデリックが立ち上がり、それを見たルーカスとイザベラものそのそと立ち上がった。
ここにいるほとんどの人間が過去に行くことになるようだ。
リリアーナがそれを確認して動き出そうとした時、イザベラがモーリスを立たせようとしているのに気が付いた。
「お父様も行きましょうよ!」
「…だが、過去に行くというのはとても危険なことだ。」
「でも父さんが過去に行かないって事は、父さんだけこっちの世界に取り残されてしまうことになるぞ。」
「そうです!僕たちと一緒に未来を変えれば、もしかすると戻ってきた時に母さんと一緒に暮らせるんですよ?それが父さんだけ残ったら、今と変わらない世界で生きることになる…」
「ん?ちょっと待ってくれ、よく分からないんだが…」
そこにジャックが口を挟むと、リリアーナがすかさず説明に入った。
「今現在彼らにはお母さんがいないんだけど、私たちが行こうとしている過去ではまだ生きてるの。だからその時点でお母さんが亡くならないように忠告して、私達が変えたバージョンの現在に戻ってきた時にはお母さんと一緒に暮らせるってわけ。」
「…いや、それは分かるけど…」
「あぁ、そう!つまり、ここでモーリスさんも行かなかったら、変わらなかったバージョンの現在に取り残されるの。
取り残されるって事は、今と同じ私達にはもう二度と会えないって事で…」
リリアーナは自分で何を言っているのか訳が分からなくなって来たが、ジャックは何となく理解できたらしい。
「つまり取り残されたモーリスさんからは、俺たちが行ってすぐに戻ってきたように見えるってことか。全く同じ俺たちに見えるし全く同じ俺たちだけど、発つ前にいた俺たちはもうあっちに行ってしまったと。」
「そう、そういうことなの!」
それを聞いていたモーリスは頷いて立ち上がると、隣にいたデイジーも立ち上がらせた。
「そうね、もしデイジーが嫌でなければ。」
リリアーナがそう言って笑いかけると、デイジーは嬉しそうにお礼を言う。
「よし、じゃあ早速妖精を呼び出してみましょう!」
そう言うと、8人は歩き出した。
「じきにご到着です。」
運転手はそう言うが早く、ハンドルを切った。
そして曲がった先には豪華なアーノルド家が見える。
運転手はゆっくりと門の前に車を停め、「到着です。」とだけ言った。
リリアーナが自分でドアを開けようとした時、外から黒いスーツの男がドアを開け、リリアーナが降りるのを手伝う。
リリアーナは男にお礼を言い、アドルフ達の後に続いた。
屋敷の玄関では、アーノルド家の家族全員とデイジーが出迎えてくれていた。
そこにはもちろんジャックの姿もある。
「リリアーナ様っ!」
早速イザベラが飛びついてきた。
「イザベラ!久しぶり!」
少し苦しかったが、リリアーナも抱き返す。
デリックがリリアーナからイザベラを引き剥がすと、6人は横一列に並んで挨拶をした。
2人もそれに応じて挨拶をすると、早速中へと通された。
広い応接間には大きなテーブルが1つ用意されていて、そのテーブルを囲むように8個の椅子が置いてある。
みんなそれぞれの椅子に腰掛けると、早速本題に入った。
「例の絵本を持ってきました。」
ジャックは鞄の中から大事そうにそれを取り出すと、テーブルの真ん中に置いた。
藍色の皮表紙に金色の文字で"ブルー・トパーズ"と書かれている。
「…これだわ!間違いない!」
リリアーナは嬉しそうにその絵本を手に取ると、そっと藍色の皮表紙を撫でた。
「…けどその絵本、妖精を呼び出す所の手順までは書いてるんだけど、過去へ行くために妖精が出した条件が何なのかが分からないんだ。」
ジャックが言うと、リリアーナは顔を上げた。
「だったら呼び出してみればいいじゃない?私も人間界にいる頃は、よく真似したわ。」
そう言ってリリアーナは本に目を通す。
「…そうだったわ!これが人間界の森ではできなかったんだけど…そもそもあれは林だったのかもしれないわ。それはともかく、まずやってみなきゃ!」
リリアーナはそう言って立ち上がると、テーブルを囲んでいる人々を見回した。
「アドルフは過去に行きたいって言ってるんだけど、他に誰か行きたい人はいない?」
その言葉にジャックとデリックが立ち上がり、それを見たルーカスとイザベラものそのそと立ち上がった。
ここにいるほとんどの人間が過去に行くことになるようだ。
リリアーナがそれを確認して動き出そうとした時、イザベラがモーリスを立たせようとしているのに気が付いた。
「お父様も行きましょうよ!」
「…だが、過去に行くというのはとても危険なことだ。」
「でも父さんが過去に行かないって事は、父さんだけこっちの世界に取り残されてしまうことになるぞ。」
「そうです!僕たちと一緒に未来を変えれば、もしかすると戻ってきた時に母さんと一緒に暮らせるんですよ?それが父さんだけ残ったら、今と変わらない世界で生きることになる…」
「ん?ちょっと待ってくれ、よく分からないんだが…」
そこにジャックが口を挟むと、リリアーナがすかさず説明に入った。
「今現在彼らにはお母さんがいないんだけど、私たちが行こうとしている過去ではまだ生きてるの。だからその時点でお母さんが亡くならないように忠告して、私達が変えたバージョンの現在に戻ってきた時にはお母さんと一緒に暮らせるってわけ。」
「…いや、それは分かるけど…」
「あぁ、そう!つまり、ここでモーリスさんも行かなかったら、変わらなかったバージョンの現在に取り残されるの。
取り残されるって事は、今と同じ私達にはもう二度と会えないって事で…」
リリアーナは自分で何を言っているのか訳が分からなくなって来たが、ジャックは何となく理解できたらしい。
「つまり取り残されたモーリスさんからは、俺たちが行ってすぐに戻ってきたように見えるってことか。全く同じ俺たちに見えるし全く同じ俺たちだけど、発つ前にいた俺たちはもうあっちに行ってしまったと。」
「そう、そういうことなの!」
それを聞いていたモーリスは頷いて立ち上がると、隣にいたデイジーも立ち上がらせた。
「そうね、もしデイジーが嫌でなければ。」
リリアーナがそう言って笑いかけると、デイジーは嬉しそうにお礼を言う。
「よし、じゃあ早速妖精を呼び出してみましょう!」
そう言うと、8人は歩き出した。