Time Paradox
犯人探しと重要人物
アリティア王国の両陛下
次の日は朝早くから忙しい1日だった。
まずは急いで城に戻り、正式な服に着替えてアリティア王国の二人を出迎えなければならなかったのだ。
よく磨いてあるのか、白く塗装されている城の車は輝いている。
そしてその車から出てきたのは、若い国王の美しい金髪と王妃の艶めく茶髪だった。
「ようこそおいでくださいました!モンフォワーシュ王国の王子、アドルフ・ナトリーでございます。本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。」
だがアドルフが堅苦しい挨拶をしている間、アリティア王国の国王は落ち着きなく庭や城を見渡している。
「アドルフと婚約した、ハンナ・ケインズです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
リリアーナも同じように挨拶をすると、アリティア王国の王妃は隣の国王を肘で小突き、挨拶を促した。
「あ、アリティア王国のフランク・ディュマです。お久しぶり、アドルフさん!」
アリティア王国の国王であるフランクは愛想はいいが、自己紹介の内容はかなり適当なようだ。
そんな彼に少し呆れたような顔を向けつつも、王妃の方はそれを補うように、しっかりと挨拶をした。
「ご婚約おめでとうございます。アリティア王国の王妃、フローラ・ローズです。今日はお招きいただきありがとうございます。」
そう言ってフローラがお辞儀をすると、隣にいたフランクも慌てて頭を下げた。
リリアーナとアドルフもお辞儀をし、四人は城へと入って行った。
早速案内された部屋へと通されると、見張りが部屋の外へ出て行き、部屋の中は四人だけとなった。
「改めて、ご婚約おめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
フローラが先に言い、フランクも後に続くような形で二人はお祝いの言葉を述べた。
「「ありがとうございます。」」
リリアーナとアドルフも口を揃えてお礼を言うと、すぐに四人の間には沈黙が流れた。
それもそのはず、この両国の面談は婚約を発表して祝福パーティーを開くだけのものなのである。
だがリリアーナとアドルフは二人に聞きたいことがあるのだ。
リリアーナが目配せをすると、アドルフが話を切り出した。
「以前、お二人のご結婚はあの老紳士お陰でもあるとおっしゃってましたよね?…実はこれから妻になるハンナも、その老紳士とおぼしき方に会ったようで…」
「ねぇ、堅苦しい話し方は止めにしようよ?お互い同い年なんだし、ね?」
リリアーナとアドルフは顔を見合わせたが、その方が説明は楽だと思い、そうすることにした。
「…実は6年前まで、この国はケインズ家が治めていたの。それで私はこの国の王家の人間だったんだけど…」
リリアーナは老紳士と出会った時の全てを話し終えると、二人は頷いていた。
「それは間違いなくおじさんだよ!」
興奮で声を弾ませるフランクに、フローラも嬉しそうに頷く。
「実はそのおじさんにいつでも会える場所があるんだけど…ここからは少し遠いみたいなの。このお城の裏には森があるでしょ?その森をずっと右側に突っ切って行くとアリティア王国に辿り着くはず…よね?」
いそいそと地図を広げたフランクに確認を取り、彼がはっきりと頷いたのを見て、フローラは話を続けた。
「それで、アリティア王国と旧アングリア王国も森で繋がっていて…旧アングリア王国とアリティア王国のちょうど真ん中!森の中に小さな古い家があるの。廃屋って言った方が正しいかも知れない…まぁ詳しくは行けば分かると思うんだけど、そこで歌を歌うとおじさんが出て来てくれるってわけ!」
リリアーナとアドルフは目を丸くした。
二人がどれだけ探しても見つからなかった謎の老紳士は、その方法さえ知っていればこんなに簡単に会うことが出来たのだ。
「アドルフ、早くそのおじさんに会いに行かなきゃ!」
だがアドルフは渋い顔をしている。
「…ですがハンナ様、私情で城の車を出してもらうことは出来ないことになっていますし、ここから歩いて森を突っ切ることはまず無理でしょう…。城の者がバスなどの公共交通機関に乗り込む事も禁止されていますから…」
「あぁ!じゃあもうどうすれば…!」
リリアーナはもどかしさにやきもきした。
「それなら僕達がおじさんに頼んで来てもらおうか?呼び出し方も分かってるし、アリティア王国からの方が近いからね。」
「…えっでも、そんなこと…いいの?」
リリアーナが躊躇いがちに言うと、アリティア王国の二人は笑顔で頷いた。
「私達も久しぶりにおじさんに会いたいと思ってたし!」
「…それじゃあ、お言葉に甘えて…」
「…どうぞよろしくお願いします。」
二人はテーブル越しにお辞儀をした。
まずは急いで城に戻り、正式な服に着替えてアリティア王国の二人を出迎えなければならなかったのだ。
よく磨いてあるのか、白く塗装されている城の車は輝いている。
そしてその車から出てきたのは、若い国王の美しい金髪と王妃の艶めく茶髪だった。
「ようこそおいでくださいました!モンフォワーシュ王国の王子、アドルフ・ナトリーでございます。本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。」
だがアドルフが堅苦しい挨拶をしている間、アリティア王国の国王は落ち着きなく庭や城を見渡している。
「アドルフと婚約した、ハンナ・ケインズです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
リリアーナも同じように挨拶をすると、アリティア王国の王妃は隣の国王を肘で小突き、挨拶を促した。
「あ、アリティア王国のフランク・ディュマです。お久しぶり、アドルフさん!」
アリティア王国の国王であるフランクは愛想はいいが、自己紹介の内容はかなり適当なようだ。
そんな彼に少し呆れたような顔を向けつつも、王妃の方はそれを補うように、しっかりと挨拶をした。
「ご婚約おめでとうございます。アリティア王国の王妃、フローラ・ローズです。今日はお招きいただきありがとうございます。」
そう言ってフローラがお辞儀をすると、隣にいたフランクも慌てて頭を下げた。
リリアーナとアドルフもお辞儀をし、四人は城へと入って行った。
早速案内された部屋へと通されると、見張りが部屋の外へ出て行き、部屋の中は四人だけとなった。
「改めて、ご婚約おめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
フローラが先に言い、フランクも後に続くような形で二人はお祝いの言葉を述べた。
「「ありがとうございます。」」
リリアーナとアドルフも口を揃えてお礼を言うと、すぐに四人の間には沈黙が流れた。
それもそのはず、この両国の面談は婚約を発表して祝福パーティーを開くだけのものなのである。
だがリリアーナとアドルフは二人に聞きたいことがあるのだ。
リリアーナが目配せをすると、アドルフが話を切り出した。
「以前、お二人のご結婚はあの老紳士お陰でもあるとおっしゃってましたよね?…実はこれから妻になるハンナも、その老紳士とおぼしき方に会ったようで…」
「ねぇ、堅苦しい話し方は止めにしようよ?お互い同い年なんだし、ね?」
リリアーナとアドルフは顔を見合わせたが、その方が説明は楽だと思い、そうすることにした。
「…実は6年前まで、この国はケインズ家が治めていたの。それで私はこの国の王家の人間だったんだけど…」
リリアーナは老紳士と出会った時の全てを話し終えると、二人は頷いていた。
「それは間違いなくおじさんだよ!」
興奮で声を弾ませるフランクに、フローラも嬉しそうに頷く。
「実はそのおじさんにいつでも会える場所があるんだけど…ここからは少し遠いみたいなの。このお城の裏には森があるでしょ?その森をずっと右側に突っ切って行くとアリティア王国に辿り着くはず…よね?」
いそいそと地図を広げたフランクに確認を取り、彼がはっきりと頷いたのを見て、フローラは話を続けた。
「それで、アリティア王国と旧アングリア王国も森で繋がっていて…旧アングリア王国とアリティア王国のちょうど真ん中!森の中に小さな古い家があるの。廃屋って言った方が正しいかも知れない…まぁ詳しくは行けば分かると思うんだけど、そこで歌を歌うとおじさんが出て来てくれるってわけ!」
リリアーナとアドルフは目を丸くした。
二人がどれだけ探しても見つからなかった謎の老紳士は、その方法さえ知っていればこんなに簡単に会うことが出来たのだ。
「アドルフ、早くそのおじさんに会いに行かなきゃ!」
だがアドルフは渋い顔をしている。
「…ですがハンナ様、私情で城の車を出してもらうことは出来ないことになっていますし、ここから歩いて森を突っ切ることはまず無理でしょう…。城の者がバスなどの公共交通機関に乗り込む事も禁止されていますから…」
「あぁ!じゃあもうどうすれば…!」
リリアーナはもどかしさにやきもきした。
「それなら僕達がおじさんに頼んで来てもらおうか?呼び出し方も分かってるし、アリティア王国からの方が近いからね。」
「…えっでも、そんなこと…いいの?」
リリアーナが躊躇いがちに言うと、アリティア王国の二人は笑顔で頷いた。
「私達も久しぶりにおじさんに会いたいと思ってたし!」
「…それじゃあ、お言葉に甘えて…」
「…どうぞよろしくお願いします。」
二人はテーブル越しにお辞儀をした。