Time Paradox

少女の闇

両親が何やら言い合いをしている時、ちょうど屋敷の重い扉が開く音がした。

「あら!ルクレツィアかしら?」

母が立ち上がると、使用人と共にルクレツィアが顔を出した。

「それで…どうだったの?」

父と母の表情は何やら緊張しているように見える。

「悪い印象は与えなかったと思うから安心して。ただ…あんまり有力な情報は聞き出せなかったわ。」

「それで…何を聞き出せたんだ?」

「ジャックの父親とジャックは、ハンナ様を懸賞金目当てで連れてきたらしいの。彼女に怪しまれないようにアパートも用意して。だけど今度はアーノルド家に拐われたんだけど、アーノルド家の抱える問題を解決したら解放してもらえたらしいわ。それで今度は二人でレストランのアルバイトを始めたところ、例の大学生に告発されたみたい。」

「なるほど、アーノルド家の問題…エラの言っていたこととリンクしているな。彼の情報は確かだ。」

「…そうね。そういえば、ジャックとハンナ様の関係は?」

「何もないみたいよ?この世界に連れて来たから繋がりがあるだけだ、って。」

「…何もない、となると余計に怪しいわね。二人の様子は何か企んでいるようにも感じるのだけれど…どう?エラ。」

エラと呼ばれた少女は口を開いた。

「ジャック様はアーノルド家の方達に混ざって話し合いをしていました。それから、私が毒殺に失敗した夜も、イザベラ様とハンナ様とジャック様の三人が集まっているのを見ました。」

「アーノルド家とハンナ様とジャック…一体何を企んでいるのかしら?」

「二人はそれぞれそこの所を調べて来てくれ。」

エラとルクレツィアの二人は頷いた。
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