Time Paradox

身代わり

ここ数日、リリアーナは毎日アドルフの隣で寝かされていた。

アドルフいわく、これがアビーに二度寝をさせてもらえる一番の方法らしいのだが。

そして今夜もアドルフはリリアーナの部屋へとやって来た。

「…アドルフ、今日もなの?」

アドルフは頷くと、リリアーナの手を取ってベッドに連れて行く。

リリアーナが渋々ベットへと横たわると、アドルフは電気を消し、リリアーナはアドルフに背を向けるように寝返りを打った。

最近は24時間のうちのほとんどをアドルフと一緒に過ごしているため、城を抜け出すこともできないのだ。

リリアーナはジャックの温もりを思い出し、涙が横に零れていくのを感じた。

そしてすでに眠りかけているアドルフの方に向き直ると、ジャックを想いながら抱きしめた。

「…ハンナ様?」

もう少しで夢の中に入り込めるというところだったのだろう、アドルフは目を覚ました。

リリアーナは顔も上げずに首を横に振ると、アドルフは何も言わずにリリアーナを抱き締め、優しく頭を撫でた。

アドルフの胸の中でうずくまっていたリリアーナだが、やがて静かな眠りの中へと落ちていった。
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