Time Paradox
城の舞踏会

秘密のダンスパーティー

デイジーは花の水やりを終えると、中庭に置いてある椅子とテーブルにお茶を用意していた。

ご機嫌な様子のデイジーの目に飛び込んできたのは、嬉しそうに焼き菓子を持ったルーカスである。

「おはよう、デイジー!昨日買ったお茶菓子を持ってきたよ。」

「ありがとうございます!じゃあ、早速…」

「始めようか。」

デイジーが頷くと、ルーカスがデイジーの手を取り、椅子を引いて座らせた。

デイジーがハーブと茶葉の入ったガラスのティーポットにお湯を注ぐと、透明なお湯がじんわりとオレンジ色に色づく。

そしてルーカスは二段重ねのケーキスタンドにお茶菓子を並べ、お茶会の準備は整ったようだ。

デイジーがちょうどいいオレンジ色になるのを待っていると、ルーカスが口を開いた。

「それで、昨日話した舞踏会の件だけど…城で開かれるみたいなんだ。」

「し、城で⁉︎」

その言葉にデイジーは思わず顔を上げた。

「…あぁ。それで、パートナーとして君に来て欲しいんだ。」

そう言うと、ルーカスは舞踏会の招待状を渡した。

「…でも、私で大丈夫なんですか?お城で開かれるって事はかなり上層部の人たちが来るんじゃ…」

「心配ないよ。デイジーは常識もあるしダンスも上手い。そして何より上品できれいだ。」

最後の一言にデイジーは頰を赤くし、ルーカスは照れ隠しの笑みを浮かべた。

「ただ不安要素を無くすためにも、少しは練習をしておいた方がいいな。ドレスを着た時の立ち振る舞いとか、挨拶の仕方とか。」

デイジーは頷き、やっと紅茶をカップに注いだ。

「なんだか今から緊張してきます…。」

「無理もないよ。でも他の誰でもない、デイジーに来てほしいんだ。」

デイジーは嬉しさに、はにかみながら頷いた。
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