Time Paradox
「エラ・チューリッヒ…」

ルクレツィアは一瞬動きを止めたようにも見えたが、軽く笑って話し始めた。

「そうね!エラは私の妹よ!チューリッヒ家では幼い頃に一度どこかの御家にお手伝いへ行かせて、社会勉強をさせるのが伝統なの。変わってるでしょう?私も行ったのよ!
…ふふふ、せいぜい1〜2年程度だったけれど。」

「あら、でもきっとそれはいい事だわ!アーノルド家でも提案してみようかしら?」

「そうねぇ、でもアーノルド家は有名過ぎるし、行く時は素性は隠して行かせた方がいいと思うわ。チューリッヒ家はそこまで名の通った家ではないからそのままでも大丈夫だったんだけれど、まさかこんな形で発覚してしまうとはね…」

そう笑って言うと、ルクレツィアは軽く肩をすくめた。

「あ、その仕草…ジャック様と少し似ていたわ!」

「あら、そんなに癖のあることしたかしら⁈」

「無意識だったのね!あなた、今肩を少し上げたでしょう?それ、ジャック様もよくされる仕草なのよ〜!」

そう言ってイザベラが微笑ましそうに笑うと、ルクレツィアはどことなく嬉しそうな表情を浮かべた。

「…本当にジャック様がお好きなのね…」

そう言いつつ、またイザベラはリリアーナの事を思い出し、複雑な気分になっていた。
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