Time Paradox
リリアーナの案内役で来た二人の親子は、ひたすら泣いているリリアーナの対応に困っていた。


「今は悲しいでしょうが、きっとあちらの暮らしも楽しいですよ。」


父親の方が励ますと、リリアーナは涙で充血した目をそちらへ向け、こくりと頷いた。


だがしばらくして列車が走り出すと、リリアーナは猛烈な眠気に襲われた。

それを見かねた息子の方は、すかさず口を開いた。

「ここからモンフォワーシュまでの道のりは長いですので、お疲れでしたら眠っていただいて結構ですよ。」


半分夢の中にいたリリアーナは、無意識に頷いた。
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