Time Paradox
「実を言うと…私は隠し通路の地図を持っているんだ。」
「…それって…どこで?」
レイラはほのかに目の奥を光らせた。
「それが、今世間を騒がせているあの王子と王妃の持ち物だった地図だよ。まだハンナ・ケインズが亡命する前…隠し通路で歩き回っていたんだが、まだ無邪気さの残る二人の話し声が聞こえてきてね。二人が言うには、地図を完成させようと頑張っていること、これからバレないよう、隠し場所を決めておこうと言った内容だった。」
「…ふふ、二人ともまさかそれが聞かれてたとは思ってなかったわよね。それでそれで?
ルイスさんはやっぱり探しに行ったの?」
「いや…少し様子を見ることにしたんだよ。私の方でも少し地図を作っておいて、彼らの地図の完成を待つんだ。だがそう思っていた矢先…あの事件が起こったんだよ。」
「ふぅん…じゃあその地図が完成させられるのはそのあとになったって事かしら?」
「あぁ。ハンナ・ケインズが亡命して、しばらくしてからこっそりと部屋を訪ねたんだ。戻ってくることはないと思っていたから覚えていた隠し場所を探して地図を手に入れたよ。…でもまさか戻ってくるとは…。」
ルイスはそこまで言って言葉を切り、またワインを口にした。
「…それにしても、なぜルイスさんは王家の人間しか知り得ない隠し通路を?」
「あぁ。それが不思議なことに、夢を見たんだよ。誰もいない隠し通路を歩く夢を…歩いていくうちに突き当たりにぶつかった。そしてそこを回して開けた時、誰かに背後から襲われたんだ。
…妙にリアルでね、ただの夢だとは思いながらも私の部屋から続く回る扉を探したんだ。」
「じゃあその夢ってもしかして…」
「あぁ、多分前世か何かの記憶だろう。どこかでも私はあの城にいたようだ。それで恐らく、王家の人間以外であの通路を見つけた前世の私は消されたんだ。」
ルイスは心なしか渋い顔をしてグラスを手に取った。
「…それって…どこで?」
レイラはほのかに目の奥を光らせた。
「それが、今世間を騒がせているあの王子と王妃の持ち物だった地図だよ。まだハンナ・ケインズが亡命する前…隠し通路で歩き回っていたんだが、まだ無邪気さの残る二人の話し声が聞こえてきてね。二人が言うには、地図を完成させようと頑張っていること、これからバレないよう、隠し場所を決めておこうと言った内容だった。」
「…ふふ、二人ともまさかそれが聞かれてたとは思ってなかったわよね。それでそれで?
ルイスさんはやっぱり探しに行ったの?」
「いや…少し様子を見ることにしたんだよ。私の方でも少し地図を作っておいて、彼らの地図の完成を待つんだ。だがそう思っていた矢先…あの事件が起こったんだよ。」
「ふぅん…じゃあその地図が完成させられるのはそのあとになったって事かしら?」
「あぁ。ハンナ・ケインズが亡命して、しばらくしてからこっそりと部屋を訪ねたんだ。戻ってくることはないと思っていたから覚えていた隠し場所を探して地図を手に入れたよ。…でもまさか戻ってくるとは…。」
ルイスはそこまで言って言葉を切り、またワインを口にした。
「…それにしても、なぜルイスさんは王家の人間しか知り得ない隠し通路を?」
「あぁ。それが不思議なことに、夢を見たんだよ。誰もいない隠し通路を歩く夢を…歩いていくうちに突き当たりにぶつかった。そしてそこを回して開けた時、誰かに背後から襲われたんだ。
…妙にリアルでね、ただの夢だとは思いながらも私の部屋から続く回る扉を探したんだ。」
「じゃあその夢ってもしかして…」
「あぁ、多分前世か何かの記憶だろう。どこかでも私はあの城にいたようだ。それで恐らく、王家の人間以外であの通路を見つけた前世の私は消されたんだ。」
ルイスは心なしか渋い顔をしてグラスを手に取った。