Time Paradox
リリアーナは何故か城の細い螺旋階段を降りている。
真っ暗で一切陽が差すことのない階段だが、リリアーナが目を向ける場所には全て蝋燭が現れ、青白い光が宿る。
幾分明るくなってきた地下階段だが、行き止まりのように見えた階段の先は、緑色の蔦と苔で覆われた古い鉄扉だった。
リリアーナはその扉の前までやってくると、指輪に付いていた大きな宝石を鍵穴に向け、小さく解除の呪文を唱えた。
「…さま!ハンナ様…!」
呼びかけられる声に気付き振り向いたと思った時、リリアーナは目を覚ました。
「ハンナ様、寝てしまっていたのですね。」
すぐ側にあったアドルフの瞳は一旦遠のき、今度は寝ていたリリアーナの身体を起こした。
「…ごめん、眠れなかった分今来ちゃったみたい…」
リリアーナはバツが悪そうに言うと、アドルフは気にも留めない様子でソファまで手を引いた。
テーブルには温かそうな朝食が二人分用意されている。
「ハンナ様はまだ朝食に参加しづらいでしょうから、二人で食べましょう。」
「…あぁ、ありがとう。私がしばらく出て行っちゃったから…」
「そんな事より…朗報です!僕達の結婚式、明日に早めることに決まりましたよ。」
「あ、明日…?あぁ、早めたいって私が言ったんだったっけ。急だったけど大丈夫だったの?」
「えぇ。また逃げ出されては大変ですから。」
リリアーナの中に疑念が湧きはじめた頃、アドルフは小さな箱を見せてきた。
その中には綺麗な薄水色の石がついた指輪が入っていた。
「…覚えていますか?ハンナ様の瞳の色とお揃いのブルー・トパーズですよ。」
そう言うとアドルフはリリアーナの薬指に指輪をはめた。
朝の光を浴びて煌めく宝石は晴れた空のような色で、何かを思い出させようとしていた。
「…何か大事な目的…」
リリアーナが呟くが、アドルフはそれには答えず指輪をしている方の手にキスを落とした。
その時、リリアーナの中でまたクラクラとした酔いが回るのを感じた。
「そっか、アドルフとの結婚…人間界に行く前からずっと望んでいたことがついに明日…叶うんだわ!」
リリアーナがアドルフにもたれ掛かると、彼はそれを優しく抱きとめた。
真っ暗で一切陽が差すことのない階段だが、リリアーナが目を向ける場所には全て蝋燭が現れ、青白い光が宿る。
幾分明るくなってきた地下階段だが、行き止まりのように見えた階段の先は、緑色の蔦と苔で覆われた古い鉄扉だった。
リリアーナはその扉の前までやってくると、指輪に付いていた大きな宝石を鍵穴に向け、小さく解除の呪文を唱えた。
「…さま!ハンナ様…!」
呼びかけられる声に気付き振り向いたと思った時、リリアーナは目を覚ました。
「ハンナ様、寝てしまっていたのですね。」
すぐ側にあったアドルフの瞳は一旦遠のき、今度は寝ていたリリアーナの身体を起こした。
「…ごめん、眠れなかった分今来ちゃったみたい…」
リリアーナはバツが悪そうに言うと、アドルフは気にも留めない様子でソファまで手を引いた。
テーブルには温かそうな朝食が二人分用意されている。
「ハンナ様はまだ朝食に参加しづらいでしょうから、二人で食べましょう。」
「…あぁ、ありがとう。私がしばらく出て行っちゃったから…」
「そんな事より…朗報です!僕達の結婚式、明日に早めることに決まりましたよ。」
「あ、明日…?あぁ、早めたいって私が言ったんだったっけ。急だったけど大丈夫だったの?」
「えぇ。また逃げ出されては大変ですから。」
リリアーナの中に疑念が湧きはじめた頃、アドルフは小さな箱を見せてきた。
その中には綺麗な薄水色の石がついた指輪が入っていた。
「…覚えていますか?ハンナ様の瞳の色とお揃いのブルー・トパーズですよ。」
そう言うとアドルフはリリアーナの薬指に指輪をはめた。
朝の光を浴びて煌めく宝石は晴れた空のような色で、何かを思い出させようとしていた。
「…何か大事な目的…」
リリアーナが呟くが、アドルフはそれには答えず指輪をしている方の手にキスを落とした。
その時、リリアーナの中でまたクラクラとした酔いが回るのを感じた。
「そっか、アドルフとの結婚…人間界に行く前からずっと望んでいたことがついに明日…叶うんだわ!」
リリアーナがアドルフにもたれ掛かると、彼はそれを優しく抱きとめた。