Time Paradox
少し遅めに朝食を済ませたイザベラは昨夜の事もあり、沈んだ気持ちでデリックと出掛けていた。

「ねぇ、私達…何もできなかったわ。」

「イザベラ、そんな顔をするな。早かれ遅かれ仕方のない事だったんだ。
…しかし、ジャックの事が気がかりだな。」

二人はジャック・カルローとハンナ・ケインズを匿っていたアーノルド家、という好奇の眼差しを向けられる事を恐れ、目立たない服装と帽子を身に纏っている。

だが急に辺りがざわめき出したのに気がついた。

見ると、少し先の方で何人か紙を配っている人がいて、それに集まる人集りができている。

「ねぇ、あれって…」

「号外か?何かあったのか…」

二人も人集りに紛れると、その紙を2枚受け取った。

「…これは…」

「デリック、まずいわ!急いで家のみんなに知らせに行きましょう!」
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