Time Paradox
「…に、兄さん⁉︎」
リリアーナもそうではないかとは思っていたが、実際にそう言われてみると驚きを隠しきれなかった。
男は黙って頷くと、話し始めた。
「俺の名はデリック・アーノルド。このアーノルド家の長男だ。」
「ふぅん、よろしくね、デリックさん。」
リリアーナが言うと、デリックは深い瑠璃色の瞳を細めた。
「…でもどうしてルーカスさんはデリックさんに勝てないの?ルーカスさん、頭切れそうなのに…。」
「たしかにあいつは変に賢い所があるが…父さんが味方についてるからな、自信があるんだろう。」
「…それでさっきルーカスさんはデリックさんにあんな事を言ってたの?」
「…まぁ俺が昔から見放されてたのは確かなんだが、俺は物心ついた頃から魔力が強過ぎたんだ。」
デリックはそう言うと、少し寂しげに窓の外を眺めた。
「…俺が16歳の頃までは、普通の幸せな家庭だった。
だが突然、母さんが重い病気にかかった。その頃既に並外れて魔力の強かった俺は、母さんを魔法で治そうと考えた。
だが力加減の難しい魔法だったのか、治って欲しいという想いに比例し魔法はどんどん強くなってしまい、結果的に母さんを殺したという事になってしまった。
今でも父さんは俺を厄病神のように扱い、ルーカスやイザベラも俺の魔力を恐れている。魔力が強いだけでそれを使いこなせなきゃ意味がないようだ。」
デリックは自嘲気味にそう言うと、目を伏せた。
リリアーナもそうではないかとは思っていたが、実際にそう言われてみると驚きを隠しきれなかった。
男は黙って頷くと、話し始めた。
「俺の名はデリック・アーノルド。このアーノルド家の長男だ。」
「ふぅん、よろしくね、デリックさん。」
リリアーナが言うと、デリックは深い瑠璃色の瞳を細めた。
「…でもどうしてルーカスさんはデリックさんに勝てないの?ルーカスさん、頭切れそうなのに…。」
「たしかにあいつは変に賢い所があるが…父さんが味方についてるからな、自信があるんだろう。」
「…それでさっきルーカスさんはデリックさんにあんな事を言ってたの?」
「…まぁ俺が昔から見放されてたのは確かなんだが、俺は物心ついた頃から魔力が強過ぎたんだ。」
デリックはそう言うと、少し寂しげに窓の外を眺めた。
「…俺が16歳の頃までは、普通の幸せな家庭だった。
だが突然、母さんが重い病気にかかった。その頃既に並外れて魔力の強かった俺は、母さんを魔法で治そうと考えた。
だが力加減の難しい魔法だったのか、治って欲しいという想いに比例し魔法はどんどん強くなってしまい、結果的に母さんを殺したという事になってしまった。
今でも父さんは俺を厄病神のように扱い、ルーカスやイザベラも俺の魔力を恐れている。魔力が強いだけでそれを使いこなせなきゃ意味がないようだ。」
デリックは自嘲気味にそう言うと、目を伏せた。