Time Paradox
リリアーナは少し遅めに朝食を済ませると、窓から外を眺めた。

もちろん窓は開かないようになっていたが、屋敷の門から正面玄関までの庭を見る事ができた。

だがどうにも落ち着かないリリアーナは、部屋から出て屋敷を散策してみることにした。


部屋から出ると、レッドカーペットの敷いてある長い廊下が続いている。

リリアーナのいた部屋は2階で、この屋敷では最上階である。

屋敷にしては珍しく、中庭があるようだ。

特に変わった事もなかったので、リリアーナは階段を降りて1階へ行くことにした。

階段を降りたところに大きな玄関があり、玄関とは反対側に昨日パーティーをしたホールのドアがある。

リリアーナは、なぜこのような屋敷にパーティーのできるようなホールが造られてあるのか不思議に思った。

1階にはホールと応接間のような部屋しかないようだ。


リリアーナが1階をうろうろとしていると、誰かの話し声が聞こえてきた。

「アドルフ王子がもうすぐお見えになるそうです。」

男の人がそう言った。

「アドルフ様にお会いできるのね!今夜のパーティーにも参加されるのでしょう?」

そう嬉しそうに言ったのはおそらくイザベラだ。

「はい。イザベラ様の美しさにきっと王子も心を奪われることでしょう。」

「うっふふ!楽しみだわ!」

そう言って、イザベラと男は玄関の外へと出て行った。
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