Time Paradox
なんだかんだで11時から働いていた2人は、6時頃には上がってもいいと言われた。

「1日8時間労働だからね。2人とも明日は早番だから7時に来てね。3時には帰れるよ。シフトも決めるから都合のある日は前もって言ってね。あ、それからメニューも頑張って覚えてきてね。それじゃ、お疲れ様。」

「「お疲れ様です。」」

2人は店長に会釈をし、各々の更衣室へと入っていった。


リリアーナは着替えると、ロッカーから荷物を出して更衣室を出た。

やはりジャックはとっくに着替えていたようで、廊下であくびをしているところだった。

「それじゃ、行くか。」

疲れていたのか、ジャックはそれだけ言うと歩き出した。

2人はさっき教えられた従業員専用の出入り口から出ると、アーニャ川に沿って歩いて行く。

川の向こうにも店や家が立ち並んでいて、その灯りが夜のモンフォワーシュをより一層幻想的にしていた。


だがリリアーナは、胃から伝わって来る振動で現実に引き戻された。
つまり、腹が鳴ったのだ。

その大きな音はジャックにも聞こえていたようで、さっきまで無言だった彼は笑い出してしまっていた。

リリアーナは顔を赤くしながらも、まかないは昼にしか出ていなかったのを思い出した。

「でも俺も腹減ったよ。」

ジャックはリリアーナをフォローするように言った。

周りの家や飲食店からは、様々な香りが立ち込めていた。

「何か食べていかない?」

「おぉ、今俺もそうしたいと思ってたんだ!」

満場一致で2人は食べに行く事にした。
満場一致とは言っても2人しかいないのだが。
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