だから、俺の彼女になってよ。



「え?」


私の言葉に呆気に取られたのか、香織は驚いたように目を丸くする。




「香織、凄く不安だったんだよね?大丈夫だよ。何もないから、本当に。ただ喧嘩した仲直りをしただけ」



悲しいくらいに、何もないんだから。


自分で言ってて悲しくなるけれど、今はそんなこと言ってられない。


だから、心配することなんてないんだよ、香織。





「ほ、本当に……?」

「うん、本当に。第一さ、香織の好きな人と何かあるわけないじゃん!心配し過ぎなんだよ、香織は」




そう言うと、香織はホッとした表情を浮かべた。


……その表情に、胸が苦しくなったことは気のせいということにしておこう。


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