だから、俺の彼女になってよ。
それがわかっていても、もう耐えられなかった。
先に進むのを躊躇する香織も。
誰にでも優しくして、本命の子への告白を先延ばしにする和も。
────……気に入らない。
「今日の放課後にでも告白しちゃおうかな。ねぇ、香織。本当に私が貰っちゃうよ?それが嫌なら、自分で何とかすることね」
「待っ……、澪南……!」
完全に黒いものに染まっていた。
そう気付いたのは、泣きそうな声で叫ぶ香織を置いて屋上を出た、あとのことだった。
「ど、うしよ……」
我に返って、まず湧き上がった感情は、焦り。
放課後和に告白する勇気なんてないし、何よりも、香織に最低なことを言ってしまった。