だから、俺の彼女になってよ。
『本当……嫌になっちゃう』
さっきの澪南の表情が、頭から離れない。
知り合って日が浅いこともあるけれど、あたしは彼女の泣き顔を見たことがなかった。
いつも笑ってるイメージが強かったから、泣き顔はおろか、辛そうな表情すら知らない。
いや、気付いていなかっただけなのかな……。
ふと、今日の昼休みの出来事を思い出す。
『和、私が貰ってもいい?』
あれは唯一、澪南が見せた本心だったのかもしれない。