だから、俺の彼女になってよ。
その日の夜は、ほとんど眠れなかった。
澪南になんて声をかけようか。どんな顔をしたらいいか。
そんなことばかりを考えていて、あたしは次の日の学校に着く間際まで、それしか頭になかった。
***
「……澪南」
教室に着いて、あたしは真っ先に澪南の姿を確認して、慎重に声をかけた。
もう口すら聞いてもらえないかもしれない。
そんなあたしの思いは、意外にも簡単に打ち砕かれた。
「あ、おはよう、香織」
あたしの声を聞いた瞬間、澪南は振り返って笑ったんだ。
いつものように。おはよう、って。
……な、んで……?
そのいつもと変わらない姿に、あたしは驚きを隠せない。