だから、俺の彼女になってよ。
「香織。おはよー」
そして彼女と入れ替わるかのように、佐久間くんが教室に入ってきた。
真っ先にあたしに挨拶してくれることに嬉しく思いながらも、キリッと胸が痛む。
考えるのは、やっぱり澪南のこと。
「澪、どんな感じだった……?」
澪南の机に彼女の鞄があることを確認したのか、すぐさまそう佐久間くんはあたしにそう聞いてきた。
「びっくりするくらい、いつも通り……」
「あー、そっか」
そう言うと、彼は悲しそうな表情を浮かべる。
それでもきっと、彼は澪南の想いには気づいていないんだろう。