だから、俺の彼女になってよ。



「……近い」

「えっ、あ、ごめん!」



照れたようにそう言われて、ハッとする。ちょっと近寄りすぎてしまった。


慌てて離れると、黒川くんは手を首筋に当ててポツリと呟いた。


「似合ってるよ」と。



少し素っ気ないけれど、これが彼だ。素直にそう言ってもらえたことが嬉しい。



「ふふっ。ありがと。黒川くんも似合ってる。カッコいいよ……って、ちょっと!」


私もお返しにそう言うと、黒川くんは唐突に私の手を引いて歩き出した。



足早に進む彼に、私も引っ張られながら必死でついて行くしかない。




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