だから、俺の彼女になってよ。





「俺のこと、名前で呼んでくれない?」

「……へ?」




唐突に言い出した俺の提案に、当然葉山は驚いた表情を浮かべる。


それを見て、少し面白いなと思ってみたり。





しばらく経っても一向に呼ぼうとしない葉山に、「はい、呼んでみて」なんて言う俺は、どんな表情をしているんだろうか。



まぁ、小さくキッと睨んでくる葉山から察して、余程意地悪な顔をしてるんだろうけど。







「和也は『和』。水瀬は『香織』。俺だけ苗字ってのも、変じゃない?」




名前からでも俺を意識させたい、とは死んでもいう気はない。




< 240 / 391 >

この作品をシェア

pagetop