だから、俺の彼女になってよ。




確かにそうだ。香織の言う通り。



ここまでのファンがいるのなら、マネージャーになりたい人なんて山ほどいるはず。人手不足で困るわけがない。


なのに、なんで。



香織のその質問に、ただただ苦笑した先輩は、こう言った。


「や、それがねぇ〜……。入って来る子たちがみんな和也千歳ファンだと、和也と千歳ばっか見てて仕事してくれないんだよ」

「「……あぁ」」



がっくりするその先輩の話を聞いて、妙に納得してしまった私と香織。


……あの2人のファンがマネージャーになったら、部内もギャラリーもより賑やかになりそうだ。



「……てことで、水瀬さん。君はちゃんと仕事をしてくれるかな?」


そんな話もあってか、先輩が香織へ向けた視線は、とても真剣そのもの。



まぁ、香織に限って仕事しないって心配はないと思うけど、……問題がひとつある。




< 252 / 391 >

この作品をシェア

pagetop