だから、俺の彼女になってよ。



廊下で泣けば、誰かに見られる可能性があるからだろうか。


どうやら、そこら辺の気遣いをしてくれたらしい。




「……泣くなよ。俺も言い過ぎた。ごめん」



空き教室に入ってそのまま床に座り込んで泣く私に、彼は意外にもあっさりと謝ってきた。


その声は、やっぱり優しい。さっきまで冷たい言葉を突きつけてきた人とは別人なくらい。




でも、あなたが謝る必要なんてない。


あなたの言葉がきっかけでこうなってしまったけれど、これはあなたのせいじゃないから。




だって、間違ってないから。言ってること。


否定はしてきたし、隠してもきたけれど、頭の隅ではちゃんと分かってるつもり。つもり、だったんだ。




……けど、それでも、どうしようもない。



「じゃあ私、どうすればよかったの……?」



この行き場のない思いは、もうどうすることもできなかったんだから。


誤魔化すしか、方法が思いつかなかったんだから。



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