だから、俺の彼女になってよ。



「……なんなの、本当」


本人がいなくなったのをいいことに、ため息を吐く。



よく分からない。


いきなり現れてズバズバと言ってきたかと思えば、私が泣いてるもそばで話を聞いてくれて。




それで、味方になる……?


優しいのか、ただの興味本位なのか。彼の考えていることが全く読めない。無表情なところが、余計に読めない。




それでも不思議と、もう彼への怒りや警戒心はなかった。



「……黒川、千歳……くん」


やっと知った彼の名前を、声に出して読んでみる。



彼は、また私を「バカだね」とからかってくるんだろうか。そして、慰めてくれるんだろうか。



頼ってもいい人なのかはよく分からないけれど、私の気持ちを1人分かってくれる存在がいるだけで、すごく心強かった。



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