だから、俺の彼女になってよ。
「じゃあまた明日な、澪」
「う、うん。ばいばい……っ」
やっと分かれ道に辿り着いて、いつものように和が私に手を振った。
私も振り返すけれど、涙が溢れてきそうで和の目を真っ直ぐに見ることができない。
先に踵を返してどんどんと離れていく和の後ろ姿を、ただ呆然と眺めていた。
だんだんとその姿がボヤけて、歪んでいく。
あぁ、なんで。
「……なんで、もっと早く言わなかったんだろ」
そう後悔したって、今更もう遅い。
『好きだよ』って、たったその一言だけなのに。
ずっとずっと先延ばしにして、言う前に砕けてしまった。
「……好き、じゃない。もう好きなんかじゃない」
そんなどうしようもない暗示をかけたって、ここまで成長してしまった想いは消えるはずもない。
大好きだったその後ろ姿を最後まで見る勇気もなくて、私もその場をあとにした。