だから、俺の彼女になってよ。
ただひたすら階段を上がって辿り着いたのは、屋上に続く錆びた扉。
何も考えずに来ちゃったから、もう行くあてもない。
試しに扉に手をかけると、ガチャ、とそれは音を立てた。
「……嘘。開いてる……?」
開いてるはずがないと思い込んいた扉は、鈍い音を立てながらも開いた。
まさか開いてるだなんて思っていなかったから、少し驚いてしまう。
でも、今はこの場所の存在がありがたかった。
とにかく1人になれる場所が欲しかった今の私には、ここはちょうどいい場所で。
「……かずの、ばか」
誰もいないのをいいことにポツリと一言文句を言うと、溢れそうな涙を必死に抑え、私はその場にうずくまった。