だから、俺の彼女になってよ。
「澪が最近、俺と香織が一緒にいると離れてくんだよ。あいつ、塾行き始めたとか変な嘘までつくし。だから、そばにいてほしいって言ったんだ。そしたら……」
「……は?」
事情を話し始めた和也の話の中に思ってもみなかった言葉を拾い、思わず低い声が出た。
「和也お前、今なんて言った?」
「え、澪が塾行くって嘘ついたって……」
「違う。その前だよ」
もう一度聞き返して、さっきのが俺の聞き間違いだったと信じたい。
もしもそれが俺の聞き間違いじゃないとしたら。もし本当に和也が、葉山にそう言ったのだとしたら。
あいつが教室を飛び出した原因が、痛いほど理解できてしまう。