だから、俺の彼女になってよ。
「え、そうなの?そっかぁ……。じゃあ、また別の機会があったらそのときこそ一緒に帰ろうね」
私の嘘を信じて、悲しそうな表情を浮かべる香織に罪悪感が生まれる。
ごめんね、香織。
それでも、この2人とこれから帰らなくていいんだと思うと、罪悪感よりも安心感の方が強かった。
もう、2人の仲良くなっていく姿を見なくて済む。
「じゃあ、また明日ね」
香織に納得してもらうと、私はすぐに教室を出ようと鞄を手にした。……その時だった。
───グイッ。
「待てよ」
誰かに腕を掴まれたのは。