先輩に溺愛されて

さっと用意をして、家を出る。


「いってらっしゃい!」

...


――ガチャ


雲ひとつない快晴。

登校ラッシュを過ぎたため辺りには誰一人いない。


ハァー
まったく朝からうるせえおばさんだよ。

世の中の母親ってみんなああなのか?


そんな悪態をつきながらゆっくり学校へ足を運ぶ。

途中、ガラの悪い連中に絡まれながらも、喧嘩をする気にもなれなくて適当にあしらった。



そんなことをしながらも学校の校門が見えてきた。


―――ヒラッ


.,.なんだ?

見るとそこには桜の花びらが。

それから気がつくと辺り一面、桜の花びらのじゅうたんができていた。




―――!!








しかしそんなことはどうでもよかった。

目の前にいる少女を視界に捉えてからは。








長い黒髪をなびかせ、桜を見上げている。





「きれい...」




それはとても小さくて、とても澄んだ声だった。

遠くからでも見える、きれいな横顔。

そしてその口から発された声。


...それは、俺の鼓動を早くさせるには十分だった。
< 5 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop