囚われた檻〜白昼夢〜【短編】
「うん、大好き」
ユカの笑顔が、俺の醜いものを溶かす。
――そう。
俺は、知っていたはずだ。
知っていて、ユカがタツヤに惹かれていく姿を、ただ黙って見ていた。
俺に向けられたものじゃないと分かっていても、ユカの笑顔を心から愛しいと思う。
と同時に、自分の嫉妬と欲望にゾッとした。
自分の命より大切にしてきたユカを、あんな形で傷つけるなんて・・・。
そして虫も殺せないユカが、俺を刺した。
俺ではない俺が、ユカを殺してしまったんだ。