囚われた檻〜白昼夢〜【短編】
「うっ・・・」
思わず口元を押さえると、目頭にうっすら涙が溢れるのを感じた。
「許さない・・・」
低い声が、響く。
静かな教室にこだましたその声は、ピクリとも動かない彼女の口から発せられていた。
聞いたことのない声色に、俺の呼吸が止まる。
「許さないから!」
叫び声が響いた。
ガバッと起き上がった彼女の手には、刃の長いナイフが握られている。
危機感を感じることもなく、俺の腹に刺さった。