花のころ
「あん時、どうもね」
「えっ…??」
彼が、立ち止まらずに話し始めたから、そのまま一緒に歩く形になった。
濡れた髪とタオルの間から、こっちを覗く瞳を直視できない。
さっきまで、自分はどうやって歩いていたんだろう。
体中の神経が、右側にもっていかれて、歩いてる感覚がない。
さらにお礼なんて言われても、何のことだか全くわからなかった。
「リレーの時」
「リレー…?」
「えっ、んじゃ違う!?」
「???」
まるで話しが見えなかった。