花のころ


「リレー…見てた?」


「うん、見てた!みんなですっごい応援したんだから~」


「俺さ、結構ハデに転んだじゃん。」


確かに、身長もある彼だから、転んだ時かなり目立っていた。


「うん、でもすぐ起き上がってバーッと走ってったから驚いた!」


「あん時さぁ、大声で『行け―ッ』って怒鳴んなかった?」


「えっ!?怒鳴ってなんかないよ!!行けっては…言ったけど……。」


やっぱり、本人にも聞こえてたんだ。嬉しいけど…まさか怒鳴り声に聞こえてたなんて…。



恥ずかしいような、悲しいような、妙な気分になってよそ見をした。
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