花のころ


お礼なんて言われたけど、言いたかったのは『どういたしまして』じゃない。









「…お疲れさまっ!!」



「おぅ、おつかれ~」


なんとか、笑顔で言えたあたしに彼は手を振って、友達の輪の中に入っていった。







あたしは背中を見送りながら、もう言葉になんて出来ない気持ちでいっぱいになってた。



今まで少しずつ温まってきてた気持ちが、何かの拍子にはじけてしまいそうな気がした。



もう止まらない。
こんな気持ち、どこに隠れてたんだろう…



熱くなった気持ちを抑えるように、胸いっぱいに空気を吸った。
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