花のころ

靴箱の近くにある自動販売機の前。



『おはよう…おはよう…おはよう…おはよう…』


飲み物を選ぶフリをしながら、朝の一言を何度も繰り返す。



『おはよう…おはよう…おはよう…おはよ…』

「おはよっ!!」



背中をわっと押され、驚いて振り返ると、そこには笑顔の友達。

「自販機見すぎっ(笑)」



笑われて、彼のことしか頭になかった自分に気がついた。



なんだか可笑しくて、あたしも一瞬に照れ笑い。



その彼が、今まさにあたしたちの横を通り過ぎていく…


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