花のころ


ピッ……ガコンッ




上の階には無いココア。



それは本当。



だけど、友達にはしっかり伝わっていた。



「そ~んなに、朝からそのココアが飲みたかったの?」



ほら、にやにや嬉しそうな顔を見ればわかる。



「そ、ど~してもこのココアじゃなきゃダメだったの(笑)」



笑いあって、階段を上がっていく。



スキな人を窓の外に見つけて、ついつい追いかけてしまったあたし。



その話を聞きながら、自分のことのように楽しんでいる友達。



ざわざわと賑やかになっていく廊下を背景に、教室へと入っていく、あなたの後ろ姿。



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